公益社団法人日本臨床工学技士会

理事長 本間 崇

 第36回日本臨床工学会は、2026年5月16日(土)~17日(日)の2日間、『志の醸成』~臨床工学を未来に紡ぐ~をテーマとて、福岡県福岡市の福岡国際会議場とマリンメッセB館で開催致します。担当頂きます一般社団法人福岡県臨床工学技士会の大塚 紹大会長をはじめ、福岡県臨床工学技士会の皆様のご尽力に感謝申し上げます。

 日本臨床工学会は、当会が行う公益事業として「全国の臨床工学技士を対象にした学術技能の研鑽及び資質の向上を目的とした事業」に位置づけられており、本学会のテーマを通して、私たちが今まで取り組んで来た医療機器に支えられた医療・福祉の信頼性を更に向上させるために、学会を通して会員のみならず企業の皆様との闊達なご討議をさせて頂く所存です。

 さて、2021年10月1日に臨床工学技士法の一部が改正され、6つの業務(法律5つの業務、政令1つの業務)が新たに認められております。これらの業務を行うためには、厚生労働大臣が指定する告示研修(日本臨床工学技士会が実施)の受講が必須であり、既に2.5万人(2025年5月現在)の臨床工学技士の方々から受講希望を頂き、2万人の方が既に受講を終了しております。

 業務においては、医療技術の高度化・複雑化及び医療機器の著しい技術進歩により、患者の安全性が向上し、迅速な診断も可能となってきています。これを支える医療機器は、膨大なデータを収集・解析し、個々の患者に最適な治療プランを提供する手助けを提供しています。一方で、患者の個人情報や医療データを保護するためのセキュリティ対策は不十分であります。これらに対応するために、2024度から取り組んでいる医療機関におけるサイバーセキュリティー対策をはじめ医療DXへ対応するための人材を育成し、ICT分野の資格取得を奨励とするとともに、その知識を活かして臨床工学分野の発展に貢献することを推奨しております。

 また、医療安全においては、患者の安全を最優先に考え、医療現場での事故やミスを防ぐための取り組みが進められています。しかし医療ミスや医療事故の発生率が依然として高いことが問題となっており、これには医療従事者の過重労働や人手不足が影響しているとされています。医療機器の安全性に関しても、医療機器の不具合や故障が原因で、患者に対するリスクが増えており、これらの事故を防ぐためには臨床工学技士の知識や技術が必要であります。2025年度から施設内における医療機器の適切な使用を他職種に啓発するために、「認定医療安全臨床工学技士」制度を発足させます。各施設において新たな業務の推進を図るために、本学会では先進的な取り組み等の報告がなされると思います。

 このように社会から、臨床工学技士への期待が高まっている中で、学会が開催されることは大変有意義なことであり、新たな未来を切り開く第一歩ではないかと考えております。また、他に当会が実施している事業に対し、各委員会が企画した事業内容や、会員各位からの種々な研究成果についてご発表・討議がなされることになっております。大きく社会が変化する困難な状況の中で、本学会にご協力を頂きます賛助会員の皆様、全国より参加頂きます会員の皆様・関係者の皆様のご理解、ご協力をお願い致します。

 最後に、当会に対し一層のご理解を賜りますことをお願い申し上げると共に、多くの会員の皆様に参加して頂きます様お願い申し上げます。

2026年 第36回日本臨床工学会

学会長 大塚 紹 【おおつか あき】

(医療法人シーエムエス 杉循環器科内科病院)

 このたび、2026年5月16日(土)~17日(日)に、福岡県福岡市にて「第36回日本臨床工学会」を開催させていただく運びとなりました。福岡での全国学会は2015年以来、約11年ぶりとなりますが、開催にあたり日頃より多大なるご支援をいただいているすべての会員の皆様をはじめ、関係者の皆さまに、心より感謝申し上げます。

今回の学会テーマは、
「志の醸成 臨床工学を未来に紡ぐ」
といたしました。

 昨今、医療を取り巻く環境は、技術革新やDXの進展、SDGsやSociety5.0への対応など、急速かつ大きく変化しています。こうした時代に私たち臨床工学技士(CE)が医療の現場で担う役割も、これまで以上に広がりと深まりをみせています。医療・教育・地域とのつながりなど、さまざまな分野で改革が進むいま、デジタル革新(DX)を通じてどのような価値を創造し、どのようにSDGsの達成に寄与できるのかを問われています。また、Society5.0による創造社会に向けて、私たちは単なる技術の担い手ではなく、持続可能な社会の実現に貢献する専門職としての在り方も求められています。

 本学会ではこうした未来への問いを、臨床工学の視点からともに深めていきたいと考えています。そして何より大切なのは、私たち一人ひとりが“志”を持ち、自らの道を切り開きながら、新しい価値を見出せる組織文化を育んでいくことだと感じています。情報があふれる時代だからこそ、本質を見極め、自ら想像力と行動力で未来を創る、そんな「CEの新たなFerment(醸成)」を、福岡から発信してまいります。

 日頃より、先進の技術や製品を提供し、現場に寄り添いながら医療の質を高めてくださる企業の皆様は、私たちにとって「医療を共につくるチーム医療の一員」であり、協働は不可欠な存在であると実感しております。

 本学会では、企業展示やセミナーを通じて、臨床と産業界との対話の機会を広げ、出会いや交流が、未来につながる新たな価値創造の場となることを願っております。

 福岡県は、アジアの玄関口として、世界中から人や文化が集まるにぎやかで元気な街です。博多祇園山笠や久留米絣、太宰府天満宮などの名所はもちろん、宗像・沖ノ島や三池炭鉱などの世界遺産もたくさんあり、福岡ならではの歴史や文化を存分に感じていただけます。なかでも、私が住む大牟田市の三池炭鉱関連遺産は、近代日本の発展を支えた貴重な歴史を今に伝える場所です。さらに、福岡市は「天神ビッグバン」の再開発が進み、「ワン・フクオカ・ビルディング(ONE FUKUOKA BLDG.)」も新しく誕生し、伝統と最先端が共存する街へと進化を続けています。学会の合間には、福岡の魅力をぜひ五感で楽しんでください。新鮮なお魚、もつ鍋や水炊き、明太子、とんこつラーメン、日本酒、スイーツなど、福岡自慢のおいしい食べ物がたくさんあります。学びと出会いに満ちた時間とともに、福岡の街もお楽しみいただければ幸いです。」

 皆様と心をひとつに、志を未来へ紡ぐ学会にしていきたいと思います。心をこめて準備を進めてまいります。皆さまと福岡でお目にかかれますことを、心より愉しみにしています。

「福岡で待っとーよ」